夏、静寂。

モンの具合が悪い。
ずーっと寝てて、おやつに興味も示さない。

ちなも心配そうに寄り添って
1年前、寝たきりのくぅに、ピッタリくっ付いていた事を思い出す。

さらに追い討ちをかけるように、
ぴぃが健康診断の結果、「G判定」をもらってきた。
AからGまであるうちの一番最後尾、つまり「要再検査・要精密検査」である。

すぐに病院に行って欲しい。

でも、彼女はいつでも仕事優先だ。

一旦引き受けた以上、
テラスモールの水着屋さんの仕事に穴を開けるわけにはいかないらしい。

夏が終わってから、検査予約をすると言った。
それで平気なのか？
それまでに悪化して、取り返しのつかない状況になったりしないのか？

もし、それで命を失ったとしても彼女は本望なのだろうな、と気付く。
ならば、無理強いはしないでおこうと決めた。
彼女の人生を邪魔する権利はボクにはない。

「健康すぎるフレンチトースト屋さん」

そんなぼくは、この先、家族全員を見送ることになるだろう。
そして、最後の1人として残されるのだ。

そう思ったら、なんかどうでも良くなった。

きっと自暴自棄になって、仕事なんか全部辞めちゃうだろう。

7月は嫌いだ。