赤い靴の足跡

コロナ禍のイルミネーションは、もっぱら密にならないオープンエアが主流だ。

イルミネーションをボケーっと眺めていると目が回る。

毎年そうだが、特に今年のは脳に直接働きかけてくるような感じがした。

◎ヨルノヨ
https://yorunoyo.yokohama/

ドーム上の半球体の中心に立ったボクはこう思った。

「いっそこのまま、連れ去られたい」
「くぅの元へいますぐ逢いに行きたい」

赤い靴はいてた女の子もそう思っていたんだと思う。
連れてったのは、「異人さん」だ。

家に帰ると、ぴぃが優しい目でボクに話してくれた。

「今日、くぅ山下公園にいたよ。ゲンの後ろをくっついて歩いてたよ」
「ハッキリは見えなかったけど、間違いなく居た」

その場所は、くぅと散歩した場所の程なく近くだった。
はじめて横浜を訪れたのは、くぅがまだ一人っ子だった時代。

くぅを連れてったのは横浜の「異人さん」だったのか。

よるの夜空に、ちょっと寄るのよ。

きっと、すぐに戻ってきてね。

ぼくは、独り言を呟いていた。